長州戦争―幕府瓦解への岐路 (中公新書)



長州戦争―幕府瓦解への岐路 (中公新書)
長州戦争―幕府瓦解への岐路 (中公新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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なぜ徳川幕府は、崩壊したのか?

好著。
ただし、幕末維新史に予備知識がある人向けである。

幕末維新の大きな流れの中で長州戦争というある意味小さなひとつの軸をモチーフとし、それを幕府側と長州側の2つの面より描いている。
そして、その中から幕末維新史の大きな流れの移り変わり、切り替わり(切り替わった理由・要因)を浮かび上がらせることに成功している。

なぜ徳川幕府が崩壊したのか、なぜ長州は勝利したのかが分かり易く描かれている。

個人的には、プロローグとあとがきが秀逸と思う。
予備知識がある人であれば読んで損はない。
幕府を倒壊させた長州戦争

日本の歴史の中で幕末維新史ほど多くの議論を呼ぶ時代は少ない。徳川幕府の倒壊という歴史的な大事件が開港を求める西欧列強の圧力の下で展開される。この過程でのスローガンは尊皇攘夷であり大政奉還である。この旗印の下で、ただし「攘夷」はいつしか置き去りにされた形で、日本は近代天皇制の時代に移行する。ここでの疑問は、武威を誇り260年にわたって太平を謳歌した徳川政権がなぜ倒れなければならなかったかということである。徳川幕府の側も政治的スローガンは討幕派と共有するに至っていたと見られるからである。
本書は冒頭に「長州戦争は、徳川幕府の命取りになった戦争である」と述べてその問いに明快に答えている。武力によって維持された徳川政権は武力によって打倒された。本書の記述からは因習にとらわれた政権は意思の統一を欠き従ってその武力の根源である封建諸侯を効果的に動因する力を失っていたことが読み取れる。他方、クーデターによって藩政、さらには軍制の改革を果たした長州藩はすぐれた銃器を装備することによって武力において幕府軍を凌駕するに至った。その実力は四境戦争とも呼ばれる第二次征長戦争で遺憾なく発揮された。この戦闘の記述(第4章)が本書の白眉である。幕府軍はその政治的、軍事的な力量において「裸の王様」であることをこの戦争において見透かされたのであった。戦闘の詳細は資料の引用によって示されている。なかでも多くを依拠している「防長回天史」についてはどこかでその資料としての性格を明らかにして欲しかった。

錯綜する維新回天史を快刀乱麻

面白い!
「長州戦争」という「軸」を立てることにより、複雑かつ錯綜する幕末史が非常にわかりやすく、かつ生き生きと描写される。原資料が原文で引用されるのも「臨場感」を高めている。もちろん、必要に応じて筆者による解説がついているので「候文」に馴染みがなくとも読解には支障ない。ただし、維新史の主要人物については読者に基礎知識があるという前提で書かれているので、幕末維新史が好きな人向けの好著。



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